【次の一手22】惑わしの歩 と 正しい攻め筋【焦点の歩】

2024/09/18

次の一手

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 今回は ぴよ将棋 の Lv17 ひよえ(1級)

先手番 石田流

で挑んだ一局でミスをした局面を元に

  • 惑わしの歩
  • それを看破する正しい攻め筋

を「次の一手」として出題します。

実戦で使える手筋を考えながら1級に勝つための対応力を鍛えてもらえたらと思います。

問題図までの手順(AI推奨の攻め筋も解説)

いきなり問題図を見るより手の流れを見た方が分かりやすいのと…

途中でAIに指摘された正しい攻め筋が参考になったので、仕掛けた所から振り返ります。

すぐ問題図を見たい方は次の見出しまで飛ばしてください。


上図はポイントの局面になる9手前です。

先手の石田流に、後手は急戦模様の駒組みをした所ですね。

ぴよ将棋 特有の「早すぎる8筋の突き捨て」を逆用してのびのびした陣形になってるのでやや先手有利です。

☖4四銀 と角道を止めたのが疑問と判断して仕掛けました。

上図以下、☗7四歩(下図)


手薄な7筋を狙うのが定番の一手ですね。

以下、☖同歩 は☗6四角(下図)と飛車取りに覗く手が絶好なので…


本譜は歩を取らず☖6二金(下図)と補強してきました。


今回の本題とは違いますが、ここが攻めの急所になる局面だったらしく…

上図以下、☗6四角(下図)


角を出ていれば強烈な攻めが決まっていたようです。

このままだと☗7三歩成 から破られてしまうので…

上図以下、☖8三飛 ☗8六飛(下図)


飛車を浮いて受けますが、そこで☗8六飛 と回り…

上図以下、☖6三金 ☗8四歩(下図)


飛車を責める展開にすれば先手優勢でした。

以下、☖6四金 ☗8三歩成 の取り合いは2枚飛車の攻めが厳しく残りますし…

上図以下、☖8二飛 ☗8三歩成 ☖5二飛 ☗4六角(下図)


飛車を逃げたら☗4六角 と冷静に対応して…

上図以下、☖7四金 ☗7三と(下図)


飛車の成り込みを狙えば後手は受けに困ります。

上図以下、☖8五歩 ☗7六飛 ☖7三金 ☗6五桂(下図)


☖8五歩 からは一例ですが、☗6五桂 と自然に駒を活用できた上図は先手が気持ちいい展開ですね。


本譜の進行に戻ります。

実戦は☖6二金 の受けに☗6四角 の攻めが見えなかったので☗7三歩成(下図)と攻めていきました。


上図以下、☖7三同金 ☗7四歩(下図)


拠点を作る平凡な攻めですね。

これはこれで悪くなく正しく指せれば先手ペースです。

上図以下、☖6三金 ☗6五歩(下図)


角筋を活かして6筋を狙い…

上図以下、☖6五同歩 ☗6四歩(下図)


気持ちよく攻めが決まったかに見えましたが、ここで後手から惑わしの一手が飛び出しました。

第1問 ひよえの好手「惑わしの歩」

ようやく第1問です。

金取りの叩きに☖6二金 と引くと☗6五桂 ~ ☗7三歩成 と調子のいい攻めを食らってしまいます。

そうなる前にちょっと反発したい所です。

先手の思い通りにさせない受けの手筋を考えてみてください。

大駒の働きを弱めるのがポイントです。

解答・解説は数行下にあります。




第1問の解答・解説

正解は☖7五歩(下図)と打つ手でした。


駒の利きが重なった所に打つ「焦点の歩」と呼ばれる手筋ですね。

角で取ると飛車の利きが止まり…

飛車で取ると角の利きが止まる…

たった1歩で急所に利いた大駒の働きを弱める上手い手です。

石田流では急所になる一着なのに完全に見落としてましたよ…

「気持ちよく攻めが決まった!」

と思った所で思わぬ反撃を受けて動揺し、本譜は対応を誤って形勢を大きく損ねました…

局後に検討したら

「正しく応じれば先手優勢」

「ハズレの応手は1つだけ」

と示され、唯一の間違いを選んだ弱さにガックリ…

こういう所で根本的な実力が分かるのかもしれませんね…

第2問 「焦点の歩」への正着は?

愚痴はこの辺にして「次の一手」第2問です。

対応の難しい歩ですが、正しく指せれば優勢のまま終盤に入れます。

  • 取るならどちらの駒か
  • 取らないとしたらどんな手があるか

色々と迷うかもしれませんが、その中から形勢を損ねない一手を考えてみてください。

ヒントは「踏み込む」です。

解答・解説は数行下にあります。




第2問の解答・解説

正解は☗6三歩成(下図)と飛車を見捨てて踏み込む手でした。


これが飛車の打ち込みに強い利点を活かす振り飛車らしい一手で、飛車を使われる前に

  • 盤上の「と金」「角」「桂」
  • 持ち駒の「金」

を使って先に食い付く形にすれば勝てるという判断のようです。

上図以下、☖7六歩 ☗6五桂(下図)


この桂跳ねが気持ちいいですね。

以下、☖8五飛 と走るのは☗7六金(下図)というピッタリした受けがあり…


上図以下、☖8四飛 ☗5二金(下図)


狙い通り食い付いて先手優勢になります。

なので☖8五飛 ではなく☖8六歩(下図)と怪しい歩を打つのが最善と示されました。


これを☗同角 と取ると、今度は☖8五飛(下図)が好手になり後手有利(-500点)になります。


以下、角・桂の両取りを受ける☗7六金 は☖8六飛 ☗同金 ☖6八飛(下図)と飛車を打ち込まれてしまうので成立しません。


なので☖8五飛 には☗5三桂不成(下図)と攻め合う手が示されましたが…


上図以下、☖8六飛 ☗8七歩 ☖8三飛 ☗4一桂成(下図)


角を取られるのが厳しく…

上図以下、☖4一同玉 ☗7三歩成 ☖同桂 ☗5二金(下図)


どうにか食い付いても…

上図以下、☖3二玉 ☗7四歩 ☖6五桂 ☗7三歩成 ☖8一飛(下図)


冷静に受けられると攻めが細くて決めきれません。

次の☖7七歩成 や☖5七桂打 の反撃が早く後手優勢(-1300点)と示されています。


なので☖8六歩 は取らず、冷静に☗2八玉(下図)と囲い…


安全にしてから☗7三歩成 を狙うのが正着です。

ボーっとしてられない後手は急がしいですね。

以下、☖8五飛 には☗7六金 で受かりますし…

☖8七歩成 からムリヤリ攻めてきても☗6四角(下図)と出れば問題ありません。


以下、☖7八と なら☗8二角成。

☖8五飛 なら☗7六金 ~ ☗7三歩成。

☖8三飛 なら☗7三歩成 と、玉の遠さを活かしながら確実に迫れば先手の勝ちです。


☗6三歩成 と踏み込む手順の解説が終わった所で

  • ☗7五同角
  • ☗7五同飛

と歩を取る手の解説に移ります。

☖7五歩 に☗同角 の変化

歩を取るなら☗7五同角(下図)が正着でした。


上図以下、☖7四金 ☗6三歩成(下図)


飛車の利きが止まり☖7四金 と角を責める手が生じましたが、角と金の交換は問題ないので☗6三歩成 と角筋を通し…

次に☗4二角成 ☖同金 ☗7四飛 と金を素抜く手を見せれば形勢は悪くありません。

上図以下、☖7五金 ☗同飛 ☖6六歩 ☗6八金(下図)


角・金交換の後は冷静に受けに回り…

上図以下、☖7三歩 ☗2八玉(下図)


玉を安全にしてから☗7四歩 ☖同歩 ☗同飛 と7筋を狙えば先手ペースです。

(単に☗7三と には☖6四角 の受けがあって少し面倒)

☖7五歩 に☗同飛 の変化

唯一のハズレが☗7五同飛(下図)と取る手でした。


これは先手優勢(1000点)だった形勢を互角(±50点)に戻してしまう悪手です。

上図以下、☖6四金(下図)


急所の歩を取られながら飛車を責められるのはマズイですね。

以下、☗7六飛 は☖7五歩 と押さえられて酷いです。

6三に「と金」がないと攻めの手掛かりがなく戦えません。

ここが☗7五同角 との大きな違いです。

精一杯頑張るなら☗7三歩成(下図)から飛車の取り合いにいくしかありませんが…


上図以下、☖7五金 ☗8二と ☖6六金(下図)


得な形で取れるはずだった金をキレイに捌かれてしまい、正着の変化とは明らかに劣っているのが分かりますね。

以下、☗6八金 は☖7六歩 の桂取りから形を乱されて飛車を打ち込まれますし…

☗6六同金 と取っても☖同歩(下図)と取り返された形が薄くて嫌な形です。


次の☖7六歩 や☖6七歩成 ☗同銀 ☖6九飛 から攻め込まれてやや後手ペースの終盤戦です。

今回の反省点

正しく応じれば問題ない焦点の☖7五歩(下図)に…

唯一のハズレだった☗7五同飛(下図)を指したのは痛かったですね。

石田流は

「捌けるなら角と金の交換は痛くない」

って感じがあるので取るなら角一択ですし…

振り飛車らしく☗6三歩成(下図)と踏み込む手が見えてなかったのも酷すぎる…

こういう基本的な判断を間違える内は苦労が続きそうです。

とりあえず「取るなら角」くらいは覚えておこうと思います。

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