【次の一手23】石田流の必修手筋【焦点の成り捨て と 焦点の叩き】

2024/09/21

次の一手

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 今回は ぴよ将棋 の Lv29 ひよね(四段+)「石田流(下図)」で挑んだ一局を題材に…


AIが示した参考になる攻め筋を「次の一手」として2つ出題します。

理想形からの攻め筋

をおさらいする感じでお楽しみください。

ポイントの局面までの手順

手の流れを見た方が分かりやすいと思うので、ポイントの局面になる10手前からザっと手順を振り返ります。

すぐ問題図を見たい方は次の見出しまで飛ばしてください。

上図は ぴよ将棋 ならではの「早すぎる8筋の突き捨て」を利用して駒組みを進めた所です。

左辺がのびのびした良い形ですよね。

離れ駒がある内に戦いを起こすのが理想なので、本譜はここで仕掛けました。

上図以下、☗7四歩(下図)

まずは7筋を突き捨てるのが定番ですね。

以下、☖同歩 は☗6四角 ☖9二飛 ☗8四歩 が厳しいので…

上図以下、☖6三金 ☗7三歩成(下図)


金で補強するのが正着ですが、構わず歩を成り込めば手が続きます。

上図以下、☖7三同金(下図)


ここが攻め方の分岐手で、AIは☗6五歩(下図)と突く手を最善と示し…


上図以下、☖7四歩 ☗6四歩 ☖5三銀 ☗6五桂(下図)


6筋の取り込みから☗6五桂 の両取りを決め…

上図以下、☖6四銀 ☗7三桂成 ☖同銀 ☗6六歩(下図)


駒得して収める方針を推奨していました。

最善を求めるなら☗6五歩 を突き詰めるのが良いかもしれません。

今回は、個人的に好きなもう1つの攻め筋の方で参考になる手があったのでそちらを中心に紹介します。


☖7三同金 に☗7四歩(下図)と拠点を作るのがその一手です。


上図以下、☖6三金 ☗6五歩(下図)


角筋を活かした自然な攻めですね。

以下、☖同歩 は☗6四歩 と叩いて先手ペースなので…

上図以下、☖5三銀(下図)


銀を引いて6筋を受けるのが正着になります。

上図以下、☗6四歩 ☖同銀(下図)


そこで歩を取り込み、☖同銀 と取った所が第1問です。

その前に☗6四歩 を☖同金(下図)と取った変化が気になった方がいるかもしれないので軽く触れておきます。


これは7筋が薄くなるので…

上図以下、☗7三歩成(下図)


歩を成り込んで先手優勢です。

以下、☖3二飛 のように飛車を逃げれば☗7四と と引いて金得を確定すればいいですし…

☖7五歩(下図)と飛車取りに打ってきた場合は…


上図以下、☗8二と ☖7六歩 ☗6五桂(下図)


飛車を取り合ってから桂を跳ねれば、どう対応されても桂と銀を交換する流れになって好調です。

以下、☖同金 なら☗5三角成 がキツイですし…

☖4二銀上 なら☗同桂成 ☖同銀 ☗7一飛 と攻めて先手が勝てます。

第1問 攻めを繋ぐ焦点の成り捨て

7筋をカバーして銀で取った場合はどう攻めますか?

応手を誤れば一気に勝負が決まる手筋の一手を考えてみてください。

解答・解説は数行下にあります。




第1問の解答・解説

正解は☗7三歩成(下図)と成り捨てる手でした。


あえて駒が集中した所を狙う「焦点の成り捨て」ですね。

飛車が急所に通ったのが大きく、どれで取っても味が悪いのが後手の悩み所です。

  • ☖同銀
  • ☖同金
  • ☖同桂
  • ☖7五歩

に分かれますが、正着の☖同銀 への応手は次問で出題するので、ここでは攻めが決まる他3つの手順を解説します。

☗7三歩成 に☖同金 の変化

☖7三同金(下図)と取った場合は…


最高に気持ちいい手があります。

上図以下、☗6四角(下図)


この角切りで勝負ありですね。

以下、☖同金 は☗7一飛成(下図)の飛車・金の両取りで大成功です。


それを受ける☖4二飛 には☗5三銀(下図)があって受けにならないのが痛いですね。



角を取るとダメなら☖7四歩(下図)と受けるしかありませんが…


上図以下、☗5三角成(下図)


普通に角を成れば先手優勢です。

銀得しながら馬ができたのは大きいですね。

☗7三歩成 に☖同桂 の変化

☖7三同桂(下図)と取った場合は…


先ほどと同じように…

上図以下、☗6四角(下図)


角を切る手が成立します。

以下、☖同金 なら☗7三飛成 の飛車・金の両取りですし…

☖7四歩 と受けても☗4六角(下図)と急所に引けば…


銀得しながら攻めを狙える先手優勢の局面です。

次の☗6四歩 が単純ながら厳しいですね。

☗7三歩成 に☖7五歩 の変化

「と金」を取らず☖7五歩(下図)と打つ反撃もあります。


石田流ではよく見る一手で、飛車を取り合って頑張ろうとする手ですが…

上図以下、☗8二と ☖7六歩 ☗6一飛(下図)


素直に応じて☗6一飛 と金の両取りに打てば先手ペースの終盤戦です。

以下、☖3二金 と囲いの金を受ければ☗6三飛成 でいいですし…

金を受けずに☖7七歩成(下図)と攻めてきても…


上図以下、☗4一飛成 ☖6七と ☗3一竜(下図)


シンプルに駒を取り合って先手が勝てる流れです。

以下、☖2二金 のように受けたら、こちらも☗6七銀 と受ければ良いですし…

☖5七桂 のように攻めてきたら☗3二金(下図)と打って先手の勝ちです。


以下、☖2二金 に☗3三金(下図)と角を取るのが寄せの好手で…


後手に有効な受けがありません。

以下、☖同金 なら☗2二銀 までの詰み。

☖6二飛 と粘っても☗2二金 ☖同飛 ☗3三銀(下図)としつこく絡めば…


ジリ貧の受けになり後手が攻めに回るチャンスはきません。

第2問 石田流の必修手筋「焦点の叩き」


☗7三歩成 を☖同銀 と取れば☗6四角 のような分かりやすい決め手はありません。

しかし、それを含みにした手筋の一手が見えれば後手陣をガタガタにできます。

石田流で必修になる好手を決めて攻めが繋がる形にしてください。

ヒントは「焦点を叩く」です。

解答・解説は数行下にあります。




第2問の解答・解説

正解は☗6四歩(下図)と叩く手でした。


典型的な「焦点の歩」ですね。

「6四」に駒がいた方が都合がいいので、歩を犠牲に誘います。

以下、☖同銀 は☗7一飛成(下図)と成り込めますし…


☖同金 は☗同角(下図)と切る手が生じます。


これは一度 避けたはずの決め手を食らう最悪のパターンですね。


☗6四歩(下図)を取れないなら…

  • ☖5三金
  • ☖6二金

と金を逃げるか

  • ☖7五歩

と手筋で反発するかしかありません。

☖5三金 は☗6五桂(下図)の両取りがキツく…


☖6二金 は☗7四歩(下図)の銀取りが厳しいので…


どうにか対抗できるのは☖7五歩(下図)になりそうです。

「焦点の歩」に「焦点の歩」を返された所で「第3問!」といきたかったんですが…

角と飛車のどちらで取っても正解なのでやめました。

以下、AIの推奨手順を紹介します。

最善は☗同角(下図)と取る手で…


以下、☖7四金 なら☗6三歩成(下図)と急所に「と金」を作るのが好手です。


攻めが継続できる場合、角と金の交換がそこまで問題ないのが石田流の強みですね。

角に逃げられると何をやってるか分からないので…

上図以下、☖7五金 ☗同飛(下図)


素直に角を取るくらいですが、急所に残った「と金」が大きく後手は受けが難しいです。


こうなるとダメなので☗7五同角 には☖6二金(下図)と引く方が勝ります。


これなら「と金」は作れませんが…

上図以下、☗6六角(下図)


思い切って角をぶつければ手が続きます。

以下、☖4四歩 のように角交換を避けると☗6五桂 が厳しいので…

上図以下、☖6六同角 ☗同飛(下図)


素直に取るのが最善です。

それを飛車で取り返せば自然に☗6三歩成 を狙って好調ですね。

上図以下、☖4四角 ☗7六飛(下図)


それを防いで☖4四角 と飛車を責める手には石田流の定位置に戻っておけば…

次の☗6三角 の打ち込みや、☗6五桂 と跳ねる手などが厳しく先手有利(600点)の中盤戦です。

以下、一例としては…

上図以下、☖5二金寄 ☗6三角 ☖7五歩(下図)


角の打ち込みに手筋の叩きで反発する感じに進みます。

これを☗同飛 と取ると☖6四銀(下図)が飛車・角の両取りになるのがマズく…


上図以下、☗7二飛成 ☖同飛 ☗同角成 ☖6三歩 ☗8一馬 ☖7一飛(下図)


大駒の交換から飛車打ちを食らって互角に戻るので注意が必要です。


☖7五歩 への正着は☗8六飛(下図)とかわす手で…


これなら優勢をキープできます。

上図以下、☖6四銀 ☗5四角成(下図)


馬を作れた上図は先手有利(800点)の中盤戦です。

後手は自陣が不安定でまとめるのが難しそうですね。

今回のポイント

石田流で☗7四歩(下図)と拠点を作った場合…

7筋(特に「7三」)を的確に攻める形を目指すのが1つの流れです。

後手もそれは分かってるので☖5三銀(下図)から7筋を受ける形を目指してくるので…

上手く咎める手筋が見えれば攻めが成功しやすいです。

今回出題した☗7三歩成(下図)の成り捨てと…

☗6四歩(下図)の叩きは…

石田流を指すなら必修の手筋なので覚えておくと役立ちますよ。

もし類似形に遭遇したらお試しください。

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