【次の一手18】攻めるか、受けるか

 石田流 vs 居飛車穴熊 の一局で形勢の分かれ目を迎えた局面です。

「４六の歩」を狙って☖２四角 と上がってきましたが、このタイミングではヌルかったようで正しく指せれば先手有利になります。

攻めるか、受けるか

どちらを選び、どう指すかを考えてみてください。

解答・解説は数行下にあります。

解答・解説

正解は☗７四歩（下図）と攻める手でした。

後手陣がまとまってない内に仕掛けるのが正しい判断だったようです。

• ☖同銀
• ☖同歩

に分かれるのでそれぞれ解説します。

☗７四歩 に☖同銀 の変化

まずは簡単に優勢になる☖同銀（下図）から。

これには浮いた歩を狙い…

上図以下、☗６四角（下図）

単純に角を出れば後手にシックリくる受けがありません。

以下、☖４二金直 のように角成りを受けると☗７四飛（下図）と銀を取る手がある（☖同歩 は☗８二角成 で飛車を取れる）ので…

☖８四飛 と浮くのが一例ですが、それには☗５三角成（下図）と馬を作っておけば先手ペースです。

以下、AIが示した一例を紹介します。

上図以下、☖４二角　☗６五桂（下図）

角をぶつけるのが最善でしたが、それには桂を跳ねて馬に紐をつけるのが好手です。

以下、☖５三角 なら☗同桂成 と桂がさばけて文句のない展開ですね。

ちょっと怖いのは☖６五同銀（下図）と根元の桂を取る手ですが…

上図以下、☗４二馬（下図）

角を取れば大丈夫です。

以下、☖４二同金上 なら☗６五歩 と銀を取っておけば駒得ですし…

☖７六銀 と飛車を取ってきたら☗４一馬（下図）と金を取れば…

一気に穴熊が薄くなって寄せ合い勝ちを目指せます。

以下、☖３一金 には☗同馬　☖同銀　☗７五角（下図）の両取りがあるので…

☖３三金 と逃げるくらいですが、それには☗５一角（下図）と絡み…

次に☗３三角成　☖同銀　☗３二金 と露骨に迫る手を見た先手充分の形勢です。

手付かずの美濃囲いを背景に強気な寄せができますね。

☗７四歩 に☖同歩 の変化

銀で取るよりは☖７四同歩（下図）の方が勝ります。

これには定番の攻め筋を狙うのが良いですね。

上図以下、☗６五歩（下図）

角筋を活かす☗６五歩 が単純ながら強烈です。

上図以下、☖９六歩　☗６四歩（下図）

角を狙う☖９六歩 がAIの示す最善手ですが、かまわず歩を取り込めば先手ペースになります。

以下、☖５二銀 や☖７二銀 と銀を下に引いたら☗９六飛（下図）と歩を回収し…

次に☗６六飛 や☗６五桂 の攻めを狙えばいいですし…

☖５四銀（下図）と上がった場合は…

上図以下、☗８八角（下図）

角を引き、次の☗７四飛 や☗６五桂 を狙えば攻めが続きます。

以下、☗７四飛 を受けるには２通りありますが…

上図以下、☖８四飛　☗６五桂　☖４二金上　☗６六角（下図）

飛車を浮くと☗６五桂 ～ ☗６六角 が絶好の活用になりますし…

かといって☖７二飛（下図）と下から受けても…

上図以下、☗６五桂　☖７五歩　☗７九飛（下図）

同じように桂を跳ね、☗７三歩 と☗５三桂成 の２つの攻めを見せれば受けが難しいです。

☗６四歩 に銀を逃げるとダメなら☖９七歩成（下図）と角を取るしかありません。

上図以下、☗６三歩成（下図）

それには銀を取りながら急所に「と金」を作れば、次の☗６五桂 や☗７四飛 が厳しく先手ペースです。

どの攻め筋も

• 中央の薄さ
• 飛車の位置の悪さ
• 中途半端な穴熊

など、後手の立ち遅れを咎める見事な手順でしたね。

今回の反省点

☗７四歩 と攻めれば先手有利（600点）だったのに、実戦は☗４七銀引（下図）と受けたので形勢を損ねました。

落ちついた手に見えなくもないですが、評価値的には一気に60点まで落ちる悪手だったようです。

ここで一手の余裕を与えるのはチャンスを逃すゴミ手だったようですね。

言われてみれば☖３三角 や☖８四飛 と大駒を良い位置に使われてイマイチです。

絶好のタイミングを逃したのは痛かった…

石田流をやるならパッと☗７四歩 を指せなきゃダメですね。