【序盤の基礎4】ノーマル三間飛車 vs 居飛車穴熊 で使える☗9五角の攻め筋

2024/08/06

序盤の基礎

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 今回は、ノーマル三間飛車 vs 居飛車穴熊 の将棋でたまに使える

☗9五角(下図)の攻め筋


を紹介します。

☖9四歩 を省略した時だけに成立する限定的なものですが、けっこう有力なのでちょっと変わった攻め方の一例にどうぞ。

ポイントの局面までの手順

まずは☗9五角 が成立する局面までの基本手順を紹介します。


今回の攻め筋は「☗6七銀型」で美濃に囲ったオーソドックスな駒組みに、居飛車が穴熊を目指した上図のような将棋で使えます。

飛車を振ったら美濃囲いに組む

という基本に忠実な流れで指すとけっこうな確率で類似形に遭遇しますよね。

ここで☗1六歩 や☗4六歩 から囲い合うと穴熊が安定してしまうので☖1一玉 と潜る前に動くのが1つの狙い筋です。

上図以下、☗5六銀(下図)


四間飛車でも見かける銀上がりで牽制します。

この手は☗4五銀 ~ ☗3四銀 と角頭の歩を取ろうとしてるので

  • ☖4四歩
  • ☖4四銀

と受けるのが一般的ですね。

今回の攻め筋は銀で受けてきた場合に使えるので☖4四銀(下図)と受けてきた形で進めます。


これには薄くなった左辺を狙い…

上図以下、☗7五歩(下図)


石田流を目指すのが1つの流れです。

この手は☗6八角 や☗5九角 と引いて飛車筋を通し、☗7四歩 からの一歩交換を狙っているので…

それを受けるなら☖9四歩(下図)と突いて☗9五角 と出られる手を消し…


上図以下、☗6八角 ☖8四飛(下図)


浮き飛車に構えるのが一般的です。

以下、☗7六飛 ~ ☗7七桂 と石田流に組んで一局ですね。

居飛車が無難に指すならこの手順ですが、突っ張るなら☖9四歩 を省略する指し方もあります。

それが今回の本題です。

☗7五歩 に対し、あえて端歩を突かず☖5二金右(下図)のように囲いを優先したら☗9五角 が狙える展開になります。


上図以下、☗6八角 ☖8四飛(下図)


☗7四歩 を受ける飛車浮きに…

上図以下、☗9五角(下図)

角を出るのが面白い一手です。

一度引いた角を出るのは手損した感じがして指しにくいかもしれませんが、飛車取りの先手になっているので問題ありません。

本筋は☖9四飛 ☗9六歩(下図)と進む変化ですが…

  • ☖6四飛
  • ☖8二飛
  • ☖8三飛

などの逃げ方も気になると思うので先に補足しておきますね。

これらの変化には「4一の金」が浮いていて飛車打ちに弱い欠点を突けば先手ペースになります。

☗9五角 に☖6四飛 の変化

☖6四飛(下図)と逃げた場合は…


飛車の捕獲を含みに…

上図以下、☗7四歩(下図)


7筋の歩を突くのが急所です。

放置すれば☗7三歩成 が厳しいですし、☖同歩 と取ると☗6五歩(下図)で飛車が詰むので…


☗7四歩 は☖同飛(下図)と取るしかありません。


上図以下、☗7四同飛 ☖同歩 ☗7一飛(下図)


これには飛車交換から☗7一飛 と打つのが気持ちいいですね。

以下、☖3二銀 と受けるくらいですが、先に桂、香を拾って玉頭方面からの攻めを狙えば先手ペースの終盤戦です。

☗9五角 に☖8二飛 の変化

☖8二飛(下図)と引いた場合は…


上図以下、☗7四歩(下図)


狙いの一歩交換をすればペースを握れます。

上図以下、☖7四同歩 ☗同飛 ☖7三歩(下図)


ここで

  • ☗8四飛
  • ☗同角成

の2通りが有力ですが、☗8四飛 は次の☖8三飛 の変化とダブるので☗同角成(下図)と強襲する手を解説します。


上図以下、☖7三同桂 ☗同飛成(下図)


飛車取りの先手で竜を作れば先手充分です。

以下、☖9二飛 なら☗8四桂 から飛車の捕獲を狙えばいいですし…

☖6二飛 なら☗7一竜 ☖5一金引 ☗7四歩 の「と金」作りが厳しく…

☖8一飛 にも☗7二竜 ☖5一飛 ☗7四歩(下図)の「と金」作りからジックリ攻めれば先手ペースです。

これらは穴熊が未完成だからこそ成立する手順ですね。

囲いが完成している美濃囲いの方が堅く、素早く攻め込んだ利点が活きています。

☗9五角 に☖8三飛 の変化

☖8三飛(下図)と引いて「7三」をカバーした場合は…


上図以下、☗7四歩 ☖同歩 ☗同飛 ☖7三歩(下図)


☗7四歩 から一歩交換すれば手が続きます。

先ほどのように角を切る手は無理ですが…

上図以下、☗8四飛(下図)


角筋を活かして飛車交換を強要すれば先手が指せる流れです。

この☗7四歩 の一歩交換から☗8四飛 と回るのは三間飛車の狙い筋ですね。

居飛車に浮き駒があって飛車打ちが先手になる時は振り飛車ペースになりやすいので積極的に狙ってください。

上図以下、☖8四同飛 ☗同角(下図)


ここで☖7九飛 と打ってきたら☗7一飛(下図)と金取りの先手で打ち返せば、先に桂、香を取れる上に囲いが堅い先手ペースです。


気になるのは☖8二飛(下図)と自陣飛車で受ける手ですが…


上図以下、☗7五角 ☖7四歩 ☗7一飛(下図)


角を逃げ、☖7四歩 と続けて角取りにきたタイミングで飛車を打てば先手ペースになります。

以下、☖3二銀 と受ければ☗7四飛成 で角が生還しますし…

☖7五歩 と角を取ってきたら☗4一飛成(下図)と金を取れば…


玉の堅さが大差になり先手ペースの終盤戦です。

本筋の☖9四飛 ☗9六歩 の変化

局面を☗9五角 に戻します。

この手には☖9四飛 と角取りに当て返し、それを☗9六歩(下図)と支えるのが正着です。

こうなると先手が簡単に良くなるわけではありません。

正確に指されると互角の形勢が続きますが、まずは狙いを知ってもらうために基本の攻め筋を紹介します。

上図以下、☖1一玉 ☗8六歩(下図)


☗8六歩 と突くのが継続手です。

これを☖同歩 と取ってくれれば☗8八飛(下図)と回って先手ペースになります。


次に☗8六飛 から飛車成りを狙う手が受けにくいですね。

これが成功例ですが、そう簡単に決まらないのが将棋の難しい所です。

☗8六歩 の瞬間に☖5五歩 や☖5五銀(下図)とされると…


局面が複雑になって一筋縄ではいきません。

AIが示した一例は…

上図以下、☗4五銀 ☖6四飛 ☗3四銀 ☖9四歩(下図)


銀をかわして角取りにいく変化ですが、後手からも角取りにされるとまとめるのが容易ではありません。

上図以下、☗7四歩(下図)


すぐに☗3三銀成 だと☖6九銀 の割り打ちなどが生じるので、角を取る前に7筋を突くのが最善のようです。

もし☖同歩 と取ってくれれば☗3三銀成 ☖同桂 ☗8四角 と角を逃げて先手有利ですが…

上図以下、☖9五歩 ☗3三銀成 ☖同桂 ☗7三歩成(下図)


☖9五歩 から角を取り合う変化になると互角(+100前後)を示しているので良い勝負のようです。


☗8六歩 自体は面白い攻め筋ですがもうちょっと工夫した方が良さそうですね。

そう思って検討したらAIが良い手を示したので紹介します。

改善案 7筋を突き捨ててからの☗8六歩


ここで☗8六歩 は☖5五銀 から☖6四飛 と回られたりして複雑な局面になりましたが…

AIに読み込ませたら改善案として☗7四歩(下図)の突き捨てを入れるのが最善と示しました。


飛車の横利きを止め、ちょっとだけ窮屈にするのが狙いでしょうか…

これを☖同飛 と取ってくれれば☗同飛 ☖同歩 ☗7一飛 と先着して先手ペースになるので…

上図以下、☖7四同歩 ☗8六歩(下図)


歩で取るのが正着ですが、そこで☗8六歩 と突けば飛車が使いずらい分、先手が少し得です。

ここで☖2二銀 のように囲いを優先すると☗8五歩(下図)と取り込んで先手ペースになります。


次に☗6八角 と引いて☗9五歩 と飛車を捕獲する手が受けにくいですね。

なので先ほどのように☖5五銀(下図)と動きますが…


上図以下、☗4五銀 ☖6六銀 ☗8五歩(下図)


銀をかわして☗8五歩 と取り込めば、後手の飛車が使えてない分、少し先手持ちの形勢(200点前後)です。

上図以下、☖2二銀 ☗3四銀 ☖4四角 ☗9七香(下図)


派手に技が掛かる展開ではないですが、相手に得させない手を重ねていけば有利になっていきそうです。

☗8六歩 を指すなら☗7四歩 を突き捨ててからの方が良さそうですね。

最後に

ノーマル三間飛車に居飛車穴熊をやってきた時、☗5六銀(下図)の牽制を…

☖4四銀(下図)と受けてきて…

続く☗7五歩 に☖5二金右(下図)と囲いを優先し、☖9四歩 を省略した場合は…

☗6八角 に☖8四飛(下図)と浮いた所で…

☗9五角(下図)と出る手があります。

もし☖9四飛 と逃げずに

  • ☖6四飛
  • ☖8二飛
  • ☖8三飛

と逃げたら☗7四歩 から飛車交換を狙って振り飛車ペースになります。

正しく☖9四飛(下図)と指されると難しいですが…


☗9六歩 と角を支えた後、☗7四歩(下図)の突き捨てを入れてから…

狙いの☗8六歩(下図)を突けば…

形勢は互角ながらちょっとだけ振り飛車持ちの流れになります。

ぴよ将棋 の三段前後と対局するとけっこうな確率で☖9四歩 を指さないことがあり…

☗9五角 から☗8六歩 の展開にすると対応を間違えることがあるので1つの攻略パターンとして成立するかもしれません。

もし類似形に遭遇した時は1つの攻め筋としてお試しください。

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